岐阜地方裁判所 平成6年(わ)377号 判決 1995年1月30日
宣告日
平成七年一月三〇日
裁判所
岐阜地方裁判所
裁判官
佐藤壽一
検察官
坂井慶
罪名
所得税法違反
被告人
本籍
岐阜市岩倉町四丁目一四番
住居
右同
職業
不動産賃貸業 松原敏子
昭和一四年四月一四日生
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金六〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
(罪となるべき事実の要旨)
被告人は、岐阜市岩倉町四丁目一四番地に居住し、同所において不動産賃貸業及び金融業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、自己の経営する金融業に関し架空の貸倒金を計上して事業所得を損失とした上、不動産所得及び分離課税の土地の長期譲渡所得金額と損益通算するなどの不正な方法により、平成三年分の分離課税の土地の長期譲渡所得金額が一億六、六六二万四二〇円、総合課税の総所得金額が一、五〇九万六、二五二円の損失で、これに対する所得税額が三、五五五万四、二〇〇円であったのにかかわらず、平成四年三月一三日、岐阜市千石町一丁目四番地所在の所轄岐阜北税務署において、同税務署長に対し、情を知らない伊藤克彦税理士事務所事務員をして、同三年分中の分離課税の土地の長期譲渡所得金額が一億七、一九〇万七、六二〇円、総合課税の総所得金額が一億九、五六九万四、四八四円の損失で、これに対する納付すべき所得税額はない旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三、五五五万四、二〇〇円と右申告額との差額三、五五五万四、二〇〇円を免れたものである。
(適用した罰条)
所得税法二三八条、刑法一八条、二五条一項
(裁判官 佐藤壽一)